親目線レポート 高専受験と学校生活

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高専レポート

うちの長男と次男はともに工業系の国立高専=高等専門学校出身者です。
高専に進学する人ってかなり希少だと思います。
というのも高専自体が少ないから。
現在、全国に高専は57校。そのほとんどが国公立。
高専がない県もありますが、だいたい1県に1校のイメージ。

長男は卒業して就職、次男は途中退学して防衛医科大学校へ進学。
卒業あるいは退学後の進路についてもレポート。

※ここでは長男と次男の通った高専についての内容になりますので、他の高専の場合は違うこともあります。ご了承ください。

目次

高専受験のきっかけ

高専は5年生の専門学校です。
卒業すると高校+短大の資格がもらえます。
そして、専門学校ですから、高専に入学するということはある程度その先の進路を見据えての覚悟がいるかなと思います。

うちの場合、夫が工業系のエンジニアなので、自分が進んでいる道に子どもたちが進んでくれればいいなと思っていたようでした。
わたしは単純によい環境で勉強ができるだろうと思って子どもたちに薦めてみました。
国立だから設備が整ってそうとか、進学校に比べて自由だろうなとか。

どの高専もある程度の学力がないと入れません。
偏差値でサーチしてみるとわかると思います。
そのため、受験を考えている方はまず学力を上げておくことをお勧めします。

受験は推薦と一般があり、推薦は評定(いわゆる通知表の平均)と中学校の推薦状、あとは面接といった段階を踏んで合否が決まります。
学校推薦というのもあるみたいですが、うちはまったく当てはまりませんでした。
うちの子どもたちはふたりともテストの点は悪くないのですが、評定が悪い。
つまり行いが悪いわけです。
二人とも中学は楽しかったと言っているのでまあいいですけど、いったい何をやってたんだろうな。。。

推薦が近道だけど、一般受験もあるよ


ということで、推薦を受けたくても叶わない状況でしたので、一般受験するしかありませんでした。

学校見学へ行こう!

とは言っても、高専っていったいどんなところなの?って思いますよね。
学校の近くに住んでいる方とかOBOGの話が聞ける方とかだったらわかるかもですが、全国に57校という希少な学校なので実際に目にする機会はあまりないと思います。
うちは子どもが受験するというまで校舎すら見たことがありませんでした。

そんな方はぜひ学校見学に行ってみましょう。
教室や設備、雰囲気など実際に触れることができます。

わたしが最初に訪れたときの印象は大学に近い感じだなと思いました。
教官がいて研究室があって、授業棟とか講堂とか一通りの設備が大学のような雰囲気。

高専の中庭

実際の学生にも会うことができますので、その自由さも伝わると思います。
服装や髪の色は自由、化粧もOK、アクセサリーも問題なし。
でも、授業や課題は厳しい部分があるので、このあたりも大学と変わらない気がします。

わたしが学生時代に学校見学行ってたら、ここに行くって決めたかもね

だって、こんな自由な雰囲気の高校はないもん

大学と違うなあと思ったことはクラスがあることです。
1、2年次は学科に関係ないクラス、3年次からは専門学科のクラスで構成されていました。
受験時に専攻する学科を決めておくのですが、うちの場合は1学科40人程度で5学科あるので1学年5クラスでした。

クラス制について
普通の高校と同じように担任制です。
これはいろんな意味でまだ大学生のように大人ではない子どもたちのサポートをしてくれるものと思います。
面談があったり、進路相談だったり、親を含めて先生と相談しながらうまく学校生活を進めていくためのもののような気がします。

現在息子たちの通っていた高専のシステムが変わり、学科自体の編成が変わったようです。
クラス制度はおそらく変わっていないと思いますが、受験する際にはしっかりチェックしてみてください。

受験と合格発表

わたしの住んでいる県では高専の受験は公立高校の受験よりも早く、合格発表も早いです。
だから、高専受験に失敗しても公立高校受験が可能です。

推薦受験の場合はもっと早くて1月中に受験(面接のみ)と発表があります。
推薦の場合は面接だけなので、負担は軽いですね。
その代わり日々の努力が必要だと思いますので、推薦を狙っている人は受験を見据えた生活をしていけばよいのではないかと思います。
でも、推薦受験して合格したら入学は必須となりますので注意が必要です。
この学校に入りたいという強い意志を持って受験しましょう。

突破

学力選抜による受験は2月中に受験、発表があります。
うちの県では公立受験、発表は3月ですので、高専合格が決まると、みんなが必死に頑張っているときに余裕ですごすことができます。

学力選抜については公立との併願は可能ですが、毎年合格者説明会の日が公立受験日と重なっています。
この合格者説明会への出席は入学者は必須となっているので、合格して高専に行く意志があれば公立の受験はできません。
どうしても公立受験したい人は高専はあきらめなければならないということです。

記念受験とか腕試しで受験する人もいますが、公立とどちらにするか迷っている人は受けないほうがいいかと思います。
受験期の子どもたちはとてもナーバスになっていて、いったん高専合格が決まると、公立で不合格になってしまうかもしれないという気持ちになり、高専入学を決めてしまうからです。

うちの場合、長男は合格すれば行く気満々でしたが、次男は将来、看護師か自衛隊員になりたいという夢を持っており、それなら公立に行くのが正解だと思うのですが、夫に説得されたような形で受験しました。
そこで合格となったわけですから、もう公立を受験する気にはならなかったみたいです。
その時は将来は夢とは別の道へ進むんだなと思って、まあそれも悪くないかと思っていました。
でもね、結局、その道を修正するから面白いですね。
それが防衛医科大学受験につながるわけです。

次男にはいろいろな経験をさせてもらっています。
彼は強い意志のもとに将来への道を切り開いていくんだなと改めて思いました。

設備は整っている学校生活

高専は1県1校ぐらいしかなく、全国からそれぞれの高専に入学してきます。
大半は県民勢が占めますが、それでも通学に1~2時間なんていうのはザラ。
そのため寮があることが多いです。

うちから高専まで電車を乗り継ぎ2時間超えでしたので、寮一択でした。
寮はリーズナブルな価格設定、3食付いていて、申請すればネット環境もOKです。
寮についてはのちほど詳しく説明します。

部活・サークル活動

部活やサークルは大学と同じようにあります。
有名なのはロボコンサークルでしょうか。
テレビでもたまにやっていますよね。
これをやるために高専に来たという人もいます。
興味があればぜひおすすめします。

あとは運動部から文化部、ひととおりあります。
大会などは高校の大会と高専の大会があって、どちらも出られます。
4、5年生になると高校の大会は出られないと思いますが、高専大会はOK。
寮生活なら時間気にせず部活動に打ち込むこともできます。
実際に朝練、夜練?なんてのもやってたみたいです。
通学に時間がかかってたら打ち込むのは難しいかもですね。

専門的な勉強ができるカリキュラム

5年間でカリキュラムが決まっていて、1年2年次は普通の高校の勉強と専門の授業が少し入っています。
授業の進度は早いと思います。
高校3年間でやる勉強を2年で終わらすような感じですし。
定期テストもありますし、課題もあります。
勉強に関しては大学よりも厳しいかもしれません。
勉強する範囲が広いのと、レポートなどの課題が多いです。

あとは、1年次のカリキュラムをクリアしないと2年次に上がれないシステムになっていました。
年が上がるごとに難易度が増して留年する人も少なからずいます。
実際にうちの子たちもギリギリでした。
特に長男はクラスの成績で最下位近辺におりましたので、毎回ヒヤヒヤさせられました。
成績にかかわらず単位が取れないと上がれないので、次男にしてもニガテな科目などで同じくヒヤヒヤでした。

そのほかに普通の高校と同じように体育祭や学園祭などもあります。
学園祭ではほぼ大学レベルで、模擬店があったり、ステージ発表があったりします。
高専らしく、実験や体験できるものなども多くて楽しめました。
ステージではゲストを呼んで漫才やコンサートみたいなものもあることも。
わたしが知る限りでは、名前の知っているお笑いコンビのステージなどもありました。
過去には有名シンガーが来たりっていうこともあったようですよ。

これはクレーン体験👇

クレーン体験

通学時間0分、寮について

各校寮については違いがあると思いますが、うちの子たちの生活していた寮について書きますね。
敷地内に寮があるため、通学時間は0分。
昼食は食堂ではなく、寮へ戻って寮の食事をとります。

二人部屋

男子寮、女子寮があって、特に男子寮は人気があり、希望者が溢れることもあります。
まあ男子の学生が多いというのもありますが。
女子はひとり部屋、男子は1、2年次は基本2人部屋でした。
上級生になるとひとり部屋ですが、希望者が多いということもあり、条件がそろわないと上級生から追い出されます。

追い出されたらどうなるか・・・
1. 長い通学時間をガマンして過ごす
2. 高専近くのアパートを借りる
だいたいこの2つの選択肢になります。
アパート生活は可能、バイトも可能です。

3食食べられて、お風呂もあって、勉強する環境としては親としてありがたい寮です。
ですが、結構規則が厳しいというか、減点が溜まると退寮ということも。。。
実際にうちの子二人とも退寮になっています汗。

減点になる行為
部屋の片づけができていない
部屋の鍵をかけていない
勉強時間に机に向かっていない
点呼の時に不在
許可なくバイト

この辺はまあ普通ですが。。。


禁止行為として
ゲームを持ち込む
インターネットの容量制限を超える
部屋で麻雀、飲酒
許可なく外泊
連れ込み
・・・

まあいろいろあるわけです。
昔はだいぶ荒れてたみたいで、そのせいで厳しいんでしょう。
これらの行為については先生によっては厳しく一発退場を宣告されることもあります。

まあ高校生くらいの子どもたちが数人集まって生活しているわけですから、楽しむなというほうが無理で、学生たちは先生の目をかいくぐりながら、あるいは見逃してもらいながら、イケないことをしちゃったりしています。

とにかく制限は多いですが、うちの子たちは楽しそうでした。
なら、退寮になるなよって感じですが、まあ仕方がないですね。

進学か就職か、それとも?

高専からの進路について大きく分けて進学と就職になります。
だいたい4年次にはどちらを選ぶか決めて準備を始めています。

就職か進学か

就職先は選び放題!?

進学の場合は割とゆっくり進みますが、就職の場合は5年生になったらすぐ決まるという場合ほどんどです。
たまに4年次にすでに決まっている人も。
高専は企業からのオファーが多く、選び放題という感じもありますが、いい企業から順に席が埋まってくる感じなので、早めに進めないと優良大手企業などは難しいと思います
成績も多少関係してきますので、高専での成績は良いほうが選択の幅が広がります。

うちの場合、長男は出だしで失敗してしまい、その後やる気がなくなったり、学校生活でいろいろあって、最後の最後に決まったという感じでした。
大企業でも有名企業でもない会社に就職しましたが、今は結構楽しく生活できているようなのでそれもアリかもと思います。
本人が決めたところで働いて満足に生活できていればそれでいいかな。

進学は主に大学編入、専攻科へ

さて、進学のほうですが、次男はイレギュラーなので後でお話します。
通常は5年次に行きたい大学を決めて編入試験を受けます。
5年次には研究室に入っているので、研究室推薦や学校推薦なども多いです。
また、高専内に専攻科があり、さらに2年専門の勉強をすることもできます。
この専攻科は普通の大学よりもリーズナブルなので近年人気になっています。
エスカレーター式に上がれると思いきや、受験で不合格になる人も多いです。
専攻科を卒業すれば大卒と同じ扱いになります。

学位取得

普通の大学を受験する場合は編入試験となります。
高専から編入する場合、大学3年から始まるということです。
東京大学などはカリキュラムの関係で大学2年次からの編入になりますが、受験は可能です。
毎年進学する人は増えており、有名な大学に進学する人がたくさんいます。
パンフレットなどを見ると進学先などが載っていると思いますので、行きたい高専のパンフレットを参考にしてみてください。

高専3年次からの進学

これは次男のことです。
たまに高専3年で他大を受験する人がいます。
かなりイレギュラーです。
こうなると高専に入った意味って何よってなっちゃいますが、進路変更は仕方がないことです。
高専に夢破れた?人、もっと高みを目指したい人、いろんな理由があります。
高専3年をちゃんと終わらせられる人は他大の受験が可能です。
高卒程度と認定されているんですね。

でも、これには不利な点があって、高専では普通の高校で学べる科目を履修していないことがある、ということ。
実際に次男が受験したときもまったく授業を受けたことのない科目がありました。
ですから、3年次に他大を受験する場合はかなり用意が必要になります。
高専の勉強とそれ以外の勉強を両立するのは大変ですが、やってやれないことはないので、こういう進路もあると参考にしてもらえればいいかなと思います。

まとめ

うちは3人息子がおり、三男は現在中学生。
これから受験を迎える時、どういう選択をするかわかりませんが、将来の夢があるのならそれを叶える道へ進んでほしいと思います。
高専はいい学校だと思います。
しかし、専門的なことを勉強するので、それ以外の道へ進むのは難しいこともあると思います。
専門的な勉強ができるのはメリットでもあるし、デメリットでもある、というわけです。
中学生でこの選択は難しいと思います。
でも、本当に好きな道ならぜひ高専をおススメします。
だからといって、もし途中でこの道は自分の道ではないと思ったら、それを修正することも可能です。
その先の就職だって希望するところに行けばよいのだし。
わたしの周りには高専を途中で退学した人もいます。
あらためて大学受験して入りなおした人もいます。
結果、工業系の道を歩んでたり、人生はいろいろです。

未来は明るい

その時に自分にとってベストな選択をし、後悔のないように人生を歩んでいけたらすばらしいと思います。
もし間違ったと思っても、そこまでの経験は決して無駄ではない、いつかどこかで役立つことがあるかもしれない、人生のスパイスになってくれるかもしれない。
子どもたちにはこれからの将来、自分で選択して自分の道を進んでほしいと思います。

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